ワイドナショー等のテレビでの毒舌コメントで人気! 社会学者・古市憲寿 2011年出版 『絶望の国の幸福な若者たち』
今回は、テレビで一風変わったコメントをする社会学者・古市憲寿さんの
代表作『絶望の国の幸福な若者たち』を紹介していきます。
最近小沢一郎氏に切れられたことでも話題になりましたね笑
僕がこの本を読んだきっかけは、個人的に若者論的な話題に興味があったことと、
テレビで聞く古市さんの論調に面白みを感じたからなんですが。
(この人の場合、明らかに受け狙いで変なコメントをしていそうな場面があるので、
それは別です笑)
作中でも、データに基づいたものではありますが、
個人的な意見が強く盛り込まれているなあと思いました。
この本では、
世間的な「若者イメージ」と、実際のデータに基づく若者の特徴の相違点はどこか。
各世代の若者の特徴と、
それはどういった時代背景が影響しているか。
ということが論じられています。
たとえば、ゆとり世代(1987年4月-2004年4月1日)は、
世間では、「内向きだ」ってよく言われます。
2011年成人の日の朝日新聞の社説では、
「電車でゲームや携帯に没頭する君たちを見ると大丈夫か、と心配が先立つ」
と論じられ、
読売新聞では、留学生数の減少や、フェイスブックの利用者少ないことを根拠に、
若者が「内向き」であると、
産経新聞では、「ネット上に愚痴」をこぼしたり、社会はどうせよくならないと諦めたりする態度は「若者らしくない」と論じています。
こういった新聞各紙の描く若者像を例に出し、
いかに現代の若者が「内向き」だと思われているかが
この本では証明されています。
その上で、このイメージと事実に相違があることも論じられており、
実は現代の若者は、昔よりも社会志向であると古市さんは言います。
本当に内向きなら、個人志向のほうが多いはずですが、
2011年のデータを見てみると、
20代の若者のうち「社会志向」なのは55.0%、「個人志向」が36.2%、残りが「一概に言えない」か「わからない」
※内閣府 「社会意識に関する調査」
さらに、
社会志向の若者は、年々上昇しており、
新聞がつくりだしたイメージと事実にはギャップが
ある事を表しています。
このように、世間的
イメージと事実が違うかが、証明されています。
これは一例でしかありませんが、
もちろん世間的イメージの中での若者論と事実があっているケースも紹介されています。
2011年と少し前の本ですが、
すごく面白い本でした。
古市さんの意見を参考にしつつ、
自分の意見を考えながら読むといいかもしれません。
ちなみに僕が一番「へえー」となったデータは、
20代の70.5%が生活に満足していて、幸福を感じている、
というもの。
確かに今の時代、僕たち若者は安価でなんでも食べたり、買ったりもできる。
IKEAやニトリにいけば、家具等全部手に入るし、ユニクロやGUにいけば安くそれなりの服が買える。
まあこれは僕の主観だけど、高校時代くらいまではマクドナルドやらのファーストフード店で友達とゲラゲラ笑っているときが一番楽しかった笑
大学生の今も駅前の居酒屋で友達と飲んでいるときが一番楽しい・・のかもしれない。
(これは世代関係ないか?)
遠出をしたければ、友達と割り勘をすればレンタカーを借りてどこでもいける。
インターネットがあれば家にいても簡単に友達とコミュニケーションが取れるし、
家を出なくても買い物ができる。
多くを求めなければ、最低限の生活と幸福なんて近場だけで完結する。
こんなこと当たり前のように感じるけど、よくよく考えればこんな便利なことは、現代だからです。
便利になった分、それ以上を求めない人が増えているのも事実のように思います。
作中にも書いてありますが、若者たちが、
仲間内や自分が属している町で人生を完結させようとする動きがあるのも
事実です。
昔はお金を稼ぐために東京に出稼ぎに行かなければならない、
そんなこともあったそうですが、今はそんなこともない。
僕は、なんて幸せなんだろうか。
と、若者の幸福度調査のデータに納得しつつも、
こんな便利な世の中で幸せなんだから、
逆にもっとがんばってそれ以上を求めないと、
とシャキッとしました!
きっと、「今の若者はけしからん」っていうのは、
世代間の時代背景や環境の違いから生まれた、価値観の
相違なんだろうなあ、とも。
(古市さんも似たようなことを書いていました。)
本の最後にある、俳優の佐藤健さんとの対談でもありましたが、
すごくいい時代です、今!笑
これまでと今の時代を知るという意味でもいいかもしれません。
いい本なのでぜひ読んでみてください。
では。